Recommended Books by Graduate Students 2023

We asked graduate students in School of Science writing an introduction to the books they are most interested in and would like many people to read. All of the books introduced are available in Science Library. Some of them are also available in e-book format. We hope you will find them helpful in selecting books.

* Book introductions are in Japanese only.
* The introductions are arranged in order of the call number of Science Library.
* Please ask your Home Library how to borrow books from libraries on or off campus.
* How to access to E-Book from off campus is HERE.
* A panel exhibition was held at the display corner on the 3rd floor of Science Library (Science Bldg. 1) from May 26 to June 29 , 2023.
* The affiliations and grades of the authors of the introduction are current at the time of writing (FY2022).
* The book cover image is from "版元ドットコム".

(May 26, 2023)
(Update: December 13, 2023)

Table of Contents (click to jump to the introduction of the book)

【1】統計学図鑑

【 Editor/Author 】栗原伸一, 丸山敦史 共著
【 Location 】Science Library (Science Bldg. 1) 3rd floor, books
【 Call No. 】519.2:124
【 E-Book 】None

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イラストと丁寧な解説で統計学の基礎から応用までをカバー!

 本書は、統計の基礎を学びたい人からデータを実際に統計解析する人まで幅広くおすすめできる本です。理系の学生にとって統計学は切っても切れない関係にあり、授業で学んだり、実際に研究データを解析する手法として使ったりしている人が多いと思います。しかし、用語・計算の意味や検定の解釈が難しくデータの統計解析に困った人も多いのではないでしょうか。私もその一人でした。

 本書は私がそんな悩みを解決するべく、書店や図書館で統計学の本を探し、たどり着いた一冊です。全体的にイラストと丁寧な解説、具体例が掲載されており分かりやすいのが特徴です。データの種類に応じてどの検定を使うべきかが分かりやすいほか、実験計画法、回帰分析、多変量解析などのよく用いられる手法も一から説明されています。さらに、統計分析ソフトRのダウンロード方法からコマンドの入力まで書かれており、そのまま実践しやすいことも魅力です。

 統計学を勉強し始めた人や、統計検定に慣れていない人におすすめする、ぜひ手元に置いて活用していただきたい一冊です。

(Master course student, Biological Science)

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【2】Quantum computation and quantum information

【 Editor/Author 】Michael A. Nielsen & Isaac L. Chuang
【 Location 】Science Library (Science Bldg. 1) 3rd floor, Books for Students
【 Call No. 】53:J10:2;e2
【 E-Book 】None

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量子情報や量子コンピューティングにおいてとても重要な1冊です。

 この本は量子情報理論と量子コンピューティングの分野において、非常に重要な一冊です。Michael A. NielsenとIsaac L. Chuangによって書かれたこの本は、分かりやすい説明と充実した内容が特徴です。本書は、量子情報理論と量子コンピューティングの基礎的な概念から応用のトピックまで、幅広い内容をカバーしています。量子アルゴリズム、量子通信、量子コンピュータ、量子エラー訂正など、様々なトピックが網羅されています。また、理論的な概念を理解するために必要な物理的な知識も説明されています。

 本書は、学生や研究者を対象とした教科書として使用されることが多いですが、専門家以外の読者にもとても有益な内容が含まれています。現在、量子情報理論と量子コンピューティングは、産業界や学術界の注目を集める分野であり、高い将来性を持つとされています。「Quantum Computation and Quantum Information」は、この分野に興味を持つ人にとって必読の一冊であり、量子情報理論と量子コンピューティングに関する基礎知識を習得するための有用なリソースとなります。

(Doctor course student, Physics)

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【3】Radiation

【 Editor/Author 】Frank H. Shu
【 Location 】Science Library (Science Bldg. 1) 4th floor, Books
【 Call No. 】53:925
【 E-Book 】None

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これ一冊読めば、天体輻射の専門家になれます。

 この本をすすめてくれたのは「天体輻射論」の講義の先生でした。天文の英語の教科書には抵抗があるので、普段であればすすめられてもスルーするところですが、この先生の講義が面白くてわかりやすかったので、つい調子に乗って読んでみた次第です。結論として英語力も上がるし、全ての天文現象の元となる輻射について詳しくなるし大正解でした。

 一番特筆すべき点は、量子力学の基本から天文学の応用までと0から1まで丁寧に書かれている点です(そのかわり辞書のように分厚くなっていますが)。これはアメリカの教科書ならではの良さなのです。最近は日本の天文の教科書にも名作がたくさんありますが、応用的な内容が多く、大前提となる基本的な物理学過程に関しては既知であるとして解説が省略されています。これは各国の文化によるところが大きくそれぞれの良さがあります。一冊だけで天体輻射を習得したい欲張りな人にはオススメしたい一冊です。

 天体輻射というと恒星のイメージが強く、銀河、銀河団や大規模構造を好む人たちはついおろそかにしがちですが、恒星大気の古典モデルは天文ならではの大胆な仮定と深い洞察に満ちており、天文学のあらゆる分野に通じていますので、一度系統的に学んでおくことで、研究への応用やアイデア出しに役に立ちます。

(Master course student, Astronomy)

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【4】地球・惑星・生命 = The earth, planets, and life

【 Editor/Author 】日本地球惑星科学連合 編
【 Location 】Science Library (Science Bldg. 1) 3rd floor, 理学の本棚 or 3rd floor, Books
【 Call No. 】55:414
【 E-Book 】Available

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最先端の地球惑星科学研究に触れるための入門書!

 地球惑星科学は、銀河の中での太陽系や惑星・地球の誕生、地球の構造・歴史、生命の起源と進化、地震や火山、日々の気象、資源・エネルギー、将来の気象変動予測など、広範囲の事象を内包している学問であり、これらの事象は太陽系の中の地球という複雑なシステムの中で生じており、全てつながり、何らかの関連を持つものである。したがって、地球惑星科学の細分化された研究分野間での相互理解が非常に大切である。また、地球惑星科学は人類が如何にして暮らしていくべきかという社会的な問題をも扱う学問であり、誰もが学ぶべき学問である。

 そうした背景のもと本書では、地球惑星科学の各事象の中のいくつかの話題について、それぞれの第一人者(東大の研究者を含む)が、地球惑星科学を学ぶ者だけでなく、地球惑星科学に興味を持つ高校生や大学生、一般の方を含む幅広い読者に向けて、現在進行中の研究を平易な言葉で解説している。

 私は本書を読んだおかげで、地球惑星科学を学び始めであったにも関わらず、5月に幕張で開催され一般の方を含む8000人の来場者がある地球科学の国際学会"JpGU(Japan Geoscience  Union)"にて、各分野の研究者・学生の研究の展示や解説を楽しんで理解できたことが印象に残っている。ぜひ、地球惑星科学に興味を持っている学部生には、本書を読んで、実際に研究者の話を聞きに東大地球惑星科学科の研究室やJpGUに足を運ぶことをお勧めする。

(Doctor course student, Earth and Planetary Science)

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【5】相転移・臨界現象とくりこみ群

【 Editor/Author 】高橋和孝, 西森秀稔 著
【 Location 】Science Library (Science Bldg. 1) 3rd floor, Books for Students
【 Call No. 】53:1169
【 E-Book 】Available

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相転移の教科書はこれで決まり!統計力学を習った学部生がすぐ読める

 我々にとって相転移現象はとても身近な巨視的現象ですが、その発生機構は多体系の微視的な性質によります。本書はIsingモデルの相転移からはじめ、平均場理論、Landau理論と進みます。さらには相転移のスケーリング則、くりこみ群のIsingモデルへの適用までもカバーします。

 本書に必要な予備知識は学部2~3年で習う量子力学および統計力学の知識であり、それらを履修した学部生に最適な相転移の教科書です。本書は行間が比較的少なく、計算が追いやすいと思います。また、8章のくりこみ群は、1次元のIsingモデルに対して実空間くりこみ群を適用して具体的な計算を行った後に一般論に移るという、初学者に優しい構成になっています。

 同じような教科書として「相転移・臨界現象の統計物理学」(西森、2005)がありますが、本書はその内容をほぼ包含し、さらに著者が正誤表をWeb上にアップロードしているので、よりおすすめです。

(Doctor course studnet, Earth and Planetary Science)

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【6】海洋の物理学

【 Editor/Author 】花輪公雄 著
【 Location 】Science Library (Science Bldg. 1) 3rd floor, books
【 Call No. 】550.3:159:4
【 E-Book 】None

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基礎から最近の話題まで幅広く学べる、海洋物理学の入門書!

 本書は、海洋物理学の入門書です。水温や塩分の分布、海水の循環、海を伝わる波、海を知るための観測方法といった、地表のおよそ70%を占める海について、豊富な図とともにわかりやすく説明されています。地球温暖化は近年メディアでも頻繁に取り上げられていますし、太平洋熱帯域の中部から東部で海面水温が平年より高くなる(低くなる)「エルニーニョ(ラニーニャ)」という現象は、我々の住む日本の天候にも、大きな影響を与えることが知られています。このような大きなスケールだけでなく、地球では様々な時空間スケールの現象が複雑に絡んでおり、データ解析、数値モデルの改良、観測網の展開を通して日々研究が進んでいます。海洋物理学では主に力学と熱力学に基づいた方程式を用いますが、本書では、より専門的な内容にスムーズに進めるように、基礎を丁寧に学べます。

 私がこの本を手にとったのは学部生の頃です。大学院で海の研究をしたいと思ってはいたものの、当時は海を物理で解く具体的なイメージがなく、そのときに現在の指導教員に紹介していただいたのが、この本でした。学部1〜2年の力学と熱力学の知識で十分理解できる内容で、海洋物理学の面白さを知りました。

 海洋は地球上でみられる様々な現象に重要な役割を果たしていますが、まだまだ未解明の謎も多く、海を研究している学生も少ないのが現状です。地球科学では非常に珍しいノーベル賞受賞として、真鍋淑郎氏の功績は記憶に新しいと思います。海洋物理学、そして地球科学の発展のためにも、まずは「海で起きている物理」を「知る」ことから始めてみませんか?

(Master course student, Earth and Planetary Science)

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【7】よくわかるバイオインフォマティクス入門

【 Editor/Author 】藤博幸 編
【 Location 】Science Library (Science Bldg. 1) 3rd floor, Books for Students
【 Call No. 】575:90
【 E-Book 】Available

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今、生物学(ライフサイエンス)研究には欠かせないバイオインフォマティクスの基礎を丸っと理解できる頼れる一冊!

 現在の生物学実験においてどの分野に進むにしても、トランスクリプトーム解析やゲノム解析、タンパク質構造解析、分子系統解析などなどバイオインフォマティクス技術を使わずに研究を進めることはできないと言っても過言ではなくなった。ラボに入って右も左もわからないうちからデータベースやRNA-seqデータを扱うことになる学生も多いのではないか。最近では、より膨大なデータを扱うシングルセルRNA-seqも主流になり、なんとなく理解して見よう見まねで解析を進めていくことになる。私もその一人であった。しかし、より質の高い解析を行うためにはそれらのデータがどのような原理で得られてきたものなのかという基礎的な知識の土台が必ず必要になる場面に出くわすはずである。様々なデータベースを駆使することも強力なツールとなる。

 本書は、バイオインフォマティクス技術を用する一通りの解析実験について、その基礎的な実験原理についてわかりやすく簡潔に解説してある。またそれぞれの解析がどのような場面に有効なのか、さらに解析を進める上で役立つデータベースの情報なども盛り込まれている。出版年が少し古いため最先端の技術をフォローとまではいかないが、一から解析を学ぶ上では欠かせない一冊である。これから本格的にバイオインフォマティクス研究を始める学生も、現在行っているがいまいちデータを駆使できていないという学生も、一度目を通してみてはいかがだろうか。さらに深い知識を得たい場合は、関連の参考文献も豊富に掲載されているのでそちらも参考にすると良いだろう。

(Doctor course student, Biological Sciences)

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【8】セレンディピティー : 思いがけない発見・発明のドラマ

【 Editor/Author 】R.M. ロバーツ 著, 安藤喬志 訳
【 Location 】Science Library (Science Bldg. 1) 3rd floor, Books for Students
【 Call No. 】608.1:1
【 E-Book 】None

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「偶然」はいかにして「発見」となるのか…

 セレンディピティー(serendipity)とは、「偶然に幸運な予想外の発見をする才能」である。この本には「セレンディピティー 」がなければあり得なかった科学的な進歩、例えばペニシリン、合成ゴム、万有引力の法則などの事例が述べられている。これらの過程を追いかけることで、幅広い経験、そして集中して物事に取り組む姿勢がセレンディピティー 、つまり「偶然」を「発見」につなげることにおいて重要であると知ることができる。

 私はこの本を読んで、研究において最も重要なことは思考放棄をしないことだと感じた。今までの知識・経験則から予測できることだけをもとに結果を考察するだけでは科学は本当の意味では進歩しない。ペニシリンの発見も実験の「失敗」から生まれたが、その「失敗」を破棄するのではなく、シャーレ状に付着したカビの周りだけ別の細菌の侵食が起こってなかったというありのままの「結果」の意味をしっかりと考察しなければ抗生物質の発見には至らなかった。私も偉大な発見のタネを見逃さぬよう、広い視野を持って研究に取り組んでいきたいと思う。

(Master course student, Chemistry)

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【9】理工系のAI英作文術 : 誰でも簡単に正確な英文が書ける

【 Editor/Author 】西山聖久 著
【 Location 】Science Library (Science Bldg. 1) 3rd floor, books
【 Call No. 】81:122
【 E-Book 】None

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2022年最新版!理工系に特化した英作文の方法を例文付きで丁寧に解説!

 本書を手に取ったキッカケは、AIによる言語処理能力が飛躍的に向上しているというニュースが世間を騒がせているためだ。様々な指標や試験などでAIが好成績を叩き出しているというニュースが絶えない一方で、AIによる言語処理の限界も示唆されている。AIによる翻訳もまた、いくつかの課題を抱えている。特に専門的な内容や最新の知見を含む理工系の英作文となると、その弱点を人間が適切に補完する必要がある。本書ではその手順を具体例を豊富に織り交ぜながら紹介している。

 AIによる翻訳では、いわゆる受験英語の文法問題のような、一文の英訳では誤りはほとんど見られない。一方で、同じ名詞を複数の文中で異なる訳し方をしたり、受動態と能動態を適切に使い分けることは苦手のようだ。これからAIによる機械翻訳を使っていく際に重要なのは、複数の文やパラグラフ横断的に英語の構成を整える力だと感じた。新たな技術革新で、数年後には違った方法が最適となりうるが、英作文に限らず、最新技術をうまく活用する一つのモデルケースとして本書を活用してみるのも手だろう。

(Master course student, Biological Sciences)

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【10】柿の種

【 Editor/Author 】寺田寅彦 著
【 Location 】Science Library (Science Bldg. 1) 3rd floor, Books for Students
【 Call No. 】82:15
【 E-Book 】None

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おつまみにどうぞ

 現在、自分が最も注目しており、かつ理学図書館にある本というテーマのもとで、数ヶ月の間悩んだ。だが、自分の研究分野に関連する本を紹介しても、ごく少数の人の興味を引くだけだろうし、普段の休み時間には、小説や文系の本を読んでいるので、残念ながらテーマに一致する本を見つけ出すのは難しい…。ということで、「学生用図書」のラベルから、おそらくここで紹介するまでもない(誰もが手に取るのであろう)本について、敢えて駄文を弄することとした。

 さて、このお菓子のような名の本は、日常の些事にこだわった寺田寅彦のごく短い文章を集めたもので、そのほとんどは気楽な日々の雑感とでもいうべきものである。だが、中には、科学的説明が現象の不思議さを減じることはないということを述べた後、「未来の宗教や芸術はやはり科学の神殿の中に安置されなければならないような気がする。」という告白が不意に現れたりもするのである。作業の合間にでも幾つかを味わい、その精神世界を逍遥してみてはいかがだろうか。

 とはいえ、この本に収められた小文を、忙しさのあまりに健全な精神で受け止められなくなっていることに、ハッと気がついたりして、恐ろしい。「棄てた一粒の柿の種 生えるも生えぬも 甘いも渋いも 畑の土のよしあし」である。日常の些事も、心の中で反芻することで、やがて大きな主題とでもいうべきものに育っていくであろう。桃栗三年柿八年、あるいはもっと長くかかるかもしれないが。

(Doctor course student, Biological Sciences)

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