電子リソース利用上の注意

はじめに

電子リソース(ここでは、電子ジャーナル・電子ブック・データベースを指します。以下同じ。)の全学での共同利用にあたり、提供元(出版社等)との間で不正利用の防止等を含めた、利用上の取り決めを交わしています。また、冊子体と同様に、著作権を侵害する行為も不正利用となります。 
全学的なアクセスを維持するためにも、以下の「電子リソース利用上の注意」を確認し、適正な利用をお願いします。

1.不正利用とは何か

ここでいう不正利用とは、以下のような行為を指します。

  • 東京大学の構成員(教職員・学生等)及び図書館・室が入館を認めた者以外が利用すること。

     

  • 個人の学術研究・教育目的以外で各論文等をダウンロード、コピー、ハードディスク等へ保存や印刷をすること。また、それを頒布すること。

     

  • 電子リソースより入手した資料を第三者に流通させること。
    ※授業における利用については、「改正著作権法第35条運用指針」の最新版に基づいてください。

     

  • 大量のダウンロードや過剰なアクセスをすること。
    本文ファイルに限らず契約データベース上の全ての情報について、大量ダウンロードや過剰なアクセスは禁止されています。操作が手動か機械的かは問いません。

2.不正利用が行われた場合

不正利用が行われた場合、提供元(出版社等)から警告が発せられるほか、 事前の警告なしに東京大学全体で当該電子リソースの利用を停止させられる場合もあります。 
学内の多くの研究に支障をきたすことになりますので、十分ご注意ください。  

通常、提供元(出版社等)ではアクセスログにより大量利用、不正利用を監視することができます。また、ダウンロード支援ソフトウェアやツールを使用したシステマティックダウンロードも機械的に検知することが可能です。 
不正利用と認められる痕跡があった場合、提供元(出版社等)は、警告を大学に発し、その発生日時と利用元IPアドレスの情報を通知してきます。 

対応は提供元(出版社等)によって違いますが、例えば、大量ダウンロードや過剰アクセスがあった場合、概ね以下のような措置がとられます。

  • 警告し調査を求める。
  • 警告し調査を求め、当該IPアドレスのアクセスを停止する。
  • 警告し調査を求め、当該IPを含む一定の範囲のIPアドレスのアクセスを停止する。
  • 警告し調査を求め、大学全体のアクセスを停止する。

図書館は、不正とされる利用がどのような状況でなされたのか(事故か、故意か、ダウンロード支援ソフトウェアを使ったのか、手動かなど)の調査及び回答と、今後の防止策の提示を求められます。これを受けて図書館では、通知された情報を元に電子リソースの利用状況について実地に調査します。 

調査の結果、不正利用でなかった場合には、その旨を図書館から提供元(出版社等)へ伝え、アクセスが停止されていた場合には解除を求めています。 
明かな不正利用はもちろん、不正と間違われるような利用も避けるよう心がけてください。(3.不正利用とみなされないためにを参照のこと) 

3.不正利用とみなされないために

(特に指摘の多い"大量のダウンロードや過剰なアクセス"について詳説します)

3-1.大量のダウンロードや過剰なアクセスは行わない

  • 研究上必要となった都度、必要な論文だけを利用することを基本としてください。
     
  • "大量"または"過剰"の範囲については、何件以内ならば問題ない、ということが一様に決まっているわけではありません。提供元の規定がある場合には、その範囲内になります。
     
  • ジャーナルの一号全体を入手するといった、系統的・網羅的なダウンロードは件数に関わらず提供元の規定で禁止されていることが多いです。
     
  • ダウンロード支援ソフトウェアやツールを使用してのシステマティックダウンロードは、決して行わないでください。
    東京大学で契約している電子リソースでは、基本的にテキストマイニング、データマイニング目的であってもシステマティックにデータを取得することは認められておりません。教育研究等で必要な場合には、事前に提供元などに相談すると、一定の条件のもと許諾を得られる場合があります。ご希望の場合はASKにてご相談ください。
     
  • 短時間の高頻度のアクセスは過剰アクセスと判断されることがあります。ツール等を使用していないとしても、「本文を読めないようなタイミングで次々とページを開いたりファイルをダウンロードしたりしない」ようご注意ください。
    電子ジャーナルサイトでアブストラクトを順番に確認する、といった操作もタイミングが早くなりがちです。目次ページ上でアブストラクトを表示できる機能を利用したり、キーワード検索には文献検索データベースも併用したりするなど、意識的な利用にご協力をお願いいたします。
     
  • 意図せず大量ダウンロードや過剰なアクセスの状況が発生してしまうこともあります。
    例えば、
    • 同じ研究室から複数人で同時にアクセスし、IPアドレスが同一のため過剰アクセスと判断された。
    • 短時間に何度もリロードをしたため、過剰アクセスと判断された。
    • キーボードの上に物が落ちてキーが押しっぱなしの状態になり、過剰アクセスと判断された。
    • ブラウザの設定や使用しているアプリケーションがジャーナルサイトに対してリンク先読みを行った。
      などの事例もあります。
        
  • 利用中に「大量ダウンロードへの注意」等を表すメッセージが表示された場合は、直ちに利用を中止してください。

3-2.ブラウザの先読み機能を停止する

Webブラウザの「リンク先読み機能」により、利用者が意図せず、大量ダウンロード/過剰アクセスを引き起こしてしまうケースがあります。
「リンク先読み機能」では、ページを閲覧中に、バックグラウンドでページ内のリンクへのアクセスが繰り返されます。そのために、本人は普通に電子リソースを利用していたつもりでも、気が付かないうちに大量ダウンロード/大量アクセスとみなされてしまうのです。以下にブラウザの設定変更を紹介しますので、「リンク先読み機能」を無効にして電子リソースをご利用ください

ブラウザ別先読み機能停止方法 (2024年10月11日確認)

  • Microsoft Edge
    画面右上で、設定アイコン →「設定」--「Cookieとサイトのアクセス許可」を開き、「Cookieとサイトデータの管理と削除」をクリックします。「ページをプリロードして閲覧と検索を高速化する」をオフにします。
  • Google Chrome
    画面右上で、設定アイコン →「設定」の順にクリックします。
    「パフォーマンス」を開き、「ページをプリロードする」をオフにします。
  • Mozilla Firefox
    アドレスバーに「about:config」と入力してEnter キーを押します。
    「注意して進んでください!」という警告ページが表示されたら、「危険性を承知の上で使用する」をクリックします。「network.prefetch-next」を検索し「false」にします。
  • Safari (Mac)
    メニューバーの「Safari」から「環境設定」をクリックします。
    「検索」タブをクリックし、「バックグラウンドでトップヒットを事前に読み込む」のチェックをはずします。

3-3.文献管理ツールの設定を確認する

文献管理ツールの中には、複数のPDFファイルを一括で自動ダウンロードするという機能を持つものがあります。版元に大量ダウンロードとみなされますので、それらの機能は解除してご利用ください。以下に東京大学でよく利用されている文献管理ツールについて記載しますが、Zoteroなどにも同様の機能があるため、設定を確認して利用してください。

EndNote (2024年10月11日確認)

  • 購入版を利用されている方は、Find Full Text 機能を無効にしてください。
    • EndNote の上部メニューから Edit → Preferences を開く。 左のメニューで「Find Full Text」を選択し、一番下の「Automatically invoke Find Full Text on newly-imported references」のチェックを外す。

    • Find Full Text 機能の概要は、代理店ユサコ社のクイックレファレンスガイドをご確認ください。https://rs.usaco.co.jp/product/endnote/quick-reference/21/021.html

  • 東京大学で契約しているEndNote online には、 Find Full Text 機能はありません。
  • ブラウザ拡張機能の「EndNote Click」は、ブラウザの先読み機能に近いしいことが行われます。使用する場合は、所属機関を登録せず、「無料入手可能なPDFのみ参照を利用」の設定としてください。

Mendeley (2024年10月11日確認)

  • 「Mendeley Web Importer」の設定を変更する。
    • 「Mendeley Web Importer」は、ブラウザの拡張機能で、表示されているページの書誌情報を読み取るツールです。その際、利用可能なPDFがある場合には、書誌情報と一緒にダウンロードする機能となりますが、その設定を変更します。
    • Web Importerのアイコンをクリックすると、どの書誌情報を取り込むか選択する画面が表示される → 表示された画面の右下の「・・・」をクリックすると、設定画面が開く → 設定の中の「可能であればPDFを追加」のチェックをはずす。はずした後は、再度Web Importerのアイコンをクリックすると、どの書誌情報を取り込むか選択する画面が表示されるので、必要な文献を選択して利用することで、一括ダウンロードを回避できます。

4.東京大学情報倫理ガイドラインの順守

東京大学情報倫理ガイドラインを参考のうえ、適切な利用を心掛けてください。

5.その他注意事項

  • アカウントやID、パスワード管理
    • 個人のアカウントとパスワードは第三者に漏洩しないよう厳重な管理をお願いします。
      ご自身で管理されていないパソコン等から利用した場合、入力したアカウントとパスワード等がパソコン等に残ってしまい、他人に悪用される可能性があります。確実にログアウトや記録の削除を行ってください。
      ※お問い合わせ時にも、パスワードは絶対に記載しないでください。

    • 特定のデータベースではアクセスに固有のIDとパスワードを用いる場合があります。そのようなIDとパスワードを東京大学構成員以外と共有することは禁止です。また流出しないよう、メモなどの廃棄にも気を配ってください。
       
  • データベースのメンテナンスや不具合、利用者の接続状況などにより、電子リソースが利用できない場合があります。
    • 障害情報ぺージやデータベース一覧の個別のデータベース詳細を見て、最新情報を確認してください。

    • 学外のネットワークから電子リソースを利用する際は、専用のサービスを利用する必要があります。「学外からの利用」のページを参照してください。
    • お使いのブラウザによっては、一部の電子リソースがご利用いただけない場合があります。
      利用できない場合は、以下をお試しください。
      • データベース一覧や該当の電子リソースのヘルプページで推奨ブラウザやバージョンを確認し、一致するものを利用する。

      • ブラウザのキャッシュをクリアする。

      • 別のブラウザで利用する。