資料概要
亀井茲明(これあき、1861-1896)が5年間のドイツ留学中に収集した、主に19世紀に刊行された西洋美術・工芸関係の資料。
亀井茲明は、旧津和野藩主亀井家13代当主。宮内省御用掛在職中の1886(明治19)年、休職しドイツへ渡った。留学期間中に、ベルリン大学で美学や美術史を学ぶかたわら、美術工芸に関する資料を精力的に買い集めている。その範囲は多岐にわたり、書籍、油絵、写真、陶器から、染織、デザイン画、壁紙、インテリア用布の図案資料まで約16,000点に及んだ。
亀井文庫はこのうちの書籍類であり、主に美術・工芸・建築・染織・ガラス・陶器などの分野の資料から構成される。美術史や理論書のほか、テキスタイルの図案集や見本帳が多数含まれる。美術・工芸分野が中心であるが、その周辺分野である工学・工業・自然科学の資料が含まれている点にも特徴がある。また、語学学習や旅行案内に関する書籍、留学の名目であったヨーロッパの儀式典礼に関する資料も含まれている。
所蔵の経緯
亀井茲明の没後、留学中に親交のあった松岡寿が初代校長を務めた東京高等工芸学校(現千葉大学工学部)に寄贈されたのち、1924(大正13)年に同校より当館へ寄贈された。
寄贈当時の亀井文庫には書籍以外に、ベルリン、プラハ、ローマ他イタリア諸都市への旅行で購入した観光写真と美術作品写真も含まれていたが、1969年から管理を本学総合研究博物館に移した。これらは現在「亀井文庫」西洋古写真コレクションデータベースとしてウェブ上で公開されている。
形態
冊子
点数
1,026部(1,958冊)
デジタル画像
- 亀井文庫 ピラネージ画像データベース Opere di Giovanni Battista Piranesi
- 亀井文庫資料『ピラネージ版画集 Opere di Giovanni Battista Piranesi, Francesco Piranesi e d'altri』全29巻(フィルマン・ ディド兄弟出版社, 1835-1839)をデジタル化したもの
配置場所
保存庫、自動書庫、コレクション室、準貴重書庫、貴重書庫
利用方法
事前に、東京大学OPAC(一部資料は詳細検索で「文庫区分」による絞込検索が可能)および下記の目録で、配置場所と請求記号を確認してください。
詳細は下記ページをご確認ください。
目録
- 亀井文庫目録 / [東京大学附属図書館編]. [東京大学附属図書館], [19--] (OPACで詳細を見る)
- 亀井文庫目録(東京大学学術機関リポジトリでPDFを見る)
参考文献
- 旧津和野藩の若殿が買い漁った西洋美術資料 : 亀井文庫【総合図書館】. 芸術新潮. 1995, vol. 46, no. 11, p. 23.(OPACで詳細を見る)
- 柳生四郎. 東京大学特殊集書ものがたり-6-. 日本古書通信. 1994, no. 784, p. 25.(OPACで詳細を見る)
- 霞会館資料展示委員会編. 亀井茲明コレクション : 19世紀のヨーロッパの染織・デザイン展. 東京, 霞会館, 1982. (OPACで詳細を見る)
備考
- 2003年度 附属図書館常設展示会「亀井文庫」
- 「亀井文庫」西洋古写真コレクションデータベース(東京大学総合研究博物館)