石本コレクション

資料概要

第二代東京帝国大学地震研究所所長・石本巳四雄(みしお、1893-1940)が収集した、災害の際に出版されたかわら版や錦絵、新聞付録など。特に、地震が鯰に起因するものとして描かれた「鯰絵」と呼ばれる錦絵は、コレクションの大きな特徴となっている。

石本コレクションは大きく2つに分かれている。石本コレクションIは『地震火災版画張交帖(はりまぜちょう)』の資料名を持ち、かわら版・錦絵等約500点が11冊の折帖形式に仕立てられている。一方、石本コレクションIIは、張交帖に張り込まれていない約100点の資料から成る。

張交帖のうち災害関係は約7割、残りの大部分が温泉案内・名所案内である。また、嘉永7(1854)年の安政東海・南海地震と、安政2(1855)年の安政江戸地震の際の出版物がコレクション全体の8割近くを占めることから、被害の大きさや当時の災害かわら版類の出版傾向が伺える。

音楽、絵画、謡曲、俳諧、禅、水泳と多趣味であったという石本は、自らの講演の中でも、芭蕉と弟子の連句「大地震つゞいて龍やのぼるらん(似春)長十丈の鯰なりけり(桃青=芭蕉)」を引用したことや、鯰絵収集への熱意から、地震と鯰との関係に並々ならぬ文化的興味を抱いていたと思われる。

所蔵の経緯

石本氏の遺族が研究上の遺品を地震研究所と総合図書館に寄贈した。地震研究所には冊子体のものが多く寄贈され、データベース化されている。

形態

かわら版、錦絵、新聞付録等

点数

582点

デジタル画像

石本コレクション

  • 総合図書館所蔵の石本コレクション全点がデジタル公開されています。

配置場所

コレクション室

利用方法

事前に、デジタルアーカイブ「石本コレクション」で、資料番号を確認してください。
詳細は下記ページをご確認ください。

参考文献

  • 石本コレクション > 資料の解説
  • 加藤光男. 鯰絵再考:研究の整理と新資料の紹介. さいたま川の博物館紀要. 2005, vol. 5, p. 39–62.
  • 北原糸子. 近世災害情報論. 塙書房, 2003.(OPACで詳細を見る
  • 濃尾震災の新資料発掘. 2002.(岐阜新聞 2002.3.19)
  • 北原糸子, 富沢達三. 「地震火災版画帳交帖」と石本巳四雄. 東京大学社会情報研究所調査研究紀要. 2001, vol. 15, p. 1–58.(OPACで詳細を見る

備考