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　　現在のエジプト学の隆盛の始まりを作った本が2点ある。その一つが展示本『エジプト・エチオピア記念碑』。時のプロシャ皇帝ウィルヘルムⅣの命を受けて、レプシウス（Carl Richard Lepsius）が行った調査探検の成果報告書。第一次世界大戦で日本が連合国側であったことから、敗戦国ドイツからの賠償本として受け入れた。全体は6部からなり、各部とも1枚ずつ独立した81×65cmという大判の図版の束。全体は次の通り。

第1部（1、2巻）トポグラフィーと建築
第2部（3、4巻）古王国の記念物
第3部（5～8巻）新王国の記念物
第4部（9巻）ギリシア、ローマ時代の記念物
第5部（10巻）エチオピア記念物
第6部（11、12巻）ヒエログリフを除く刻文集

もう1点が『エジプト誌』（Description de l'Égypte, ou, Recueil des observations et des recherches qui ont éｔé faites en Égypte pendant l'expédition de l'armée française）。この本はナポレオン・ボナパルトがエジプトに遠征したときの産物。発掘品は「ロゼッタ石」を含めて全部イギリスに持って行かれてしまうが、調査の成果は出版され、エジプト学の先駆けとなる。総合図書館はこの『エジプト誌』も所蔵している。これに刺激されて出版されたのが展示本。（髙野　彰）