附属図書館長からの挨拶

 

東京大学附属図書館長

熊野 純彦

 東京大学図書館の歴史をひもとくと、1923(大正12)年の関東大震災によって煉瓦造りの建物は全焼し、それまでに蒐集された和漢洋の貴重な資料の多くは灰燼に帰しました。国内外の支援を受けて1928(昭和3)年に現在の総合図書館が再建されてから、2018年の今年でちょうど90年の節目を迎えます。

 この間、全学における学習、教育および研究活動を支援する使命は変わらないものの、附属図書館に求められる役割や機能は大学の発展や社会環境と共に変化し、そして多様化しています。これまで附属図書館では、基盤的な学術情報を安定的に整備するため、学術雑誌・電子ジャーナル等購入経費の全学共通経費化を実現し、また、学習・教育に資する学生用図書の充実にも努めてきました。さらに、本学で創出される世界水準の研究成果を国内外に広く発信し、社会に還元するために、学術機関リポジトリ「UTokyo Repository」の構築、拡充にも力を入れています。

 2012年に開始した新図書館計画は、図書館前広場の地下に総合図書館別館を新築し、歴史ある本館を全面改修することにより、新たな学習・教育・研究の拠点を形成する事業として進められています。別館は2017年に竣工し、円形に広がるライブラリープラザでの主体的な学び、交流の促進や、本学創設以来140年あまりにわたって収集、利用してきた貴重な学術研究資料を、永く後世が利用することを可能にする自動書庫の稼働がまさに始まろうとしています。本館はいましばらく工事を行いながらの開館が続きますが、2020年にはアジア研究に関する資料を集中化し、各国の研究者が集う世界最高水準のアジア研究図書館を館内に開設する予定です。

 また附属図書館では、東京大学が保有する学術資産を電子化し、発信する、デジタルアーカイブズ構築事業を進めています。「東京大学ビジョン2020」が謳う学術の多様性を支える基盤の強化を目指して、全学の部局と連携してデジタルアーカイブを構築することにより、時と場所を選ばすに本学の豊かな学術資産にアクセスできる環境を整えることに力を注いでいます。

 東京大学附属図書館は総合図書館、駒場図書館、柏図書館の拠点図書館と、様々な学問分野を基礎とする27の部局図書館・室から構成されています。各館それぞれが特色を活かしながら「共働する一つのシステム」としてさらに連携協力を進め、知の協創の世界拠点を形作ろうとする東京大学の取り組みの支えとなるよう、努力して参りたいと存じます。利用者の皆様には図書館を活用いただくとともに、一層のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。