bar02 資料解説

前へ次へ11.明治三陸津波(1896年)

 明治三陸津波は、明治29年6月15日午後8時頃、青森県から宮城県の太平洋沿岸を中心とした地域で発生した。マグニチュードは6.8程度と推測されているが、甚大な被害を被った三陸沿岸でも震度は小さく、地震の被害は殆ど皆無であったため、人々は津波を想起しなかった。また、当日は旧暦の節句(5月5日)や、日清戦争の戦勝祝賀式典のため、夜になっても祝いの宴が続いていたこともあり、避難が遅れ、合計22,000人が死亡した。想定を超えた被害に、政府の災害対応でも特例措置が取られ、被災地復興のため、通常の備荒儲蓄金の他に予備金や国庫剰余金などが投入された。

 以下の錦絵は、近世期の伝統的スタイルを踏襲した刷物で、明治中期の段階でもこのようなメディアに対する需要が確認できる。ただし、記述内容は現地取材などに基づくものではなく、三陸津波の話題を巷間に提供することを狙ったものであった。このようなメディアにより現地の惨状が伝えられると、恩賜金17,500円のほか、各地から3県合計63万円余りが集まり、衣類や食料といった義捐品も多く寄せられた。

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[参考文献]

  • 宇佐美龍夫 『新編日本被害地震総覧』 東京大学出版会 1987年
  • 渡辺偉夫 『日本被害津波総覧』 東京大学出版会 1985年
  • 北原糸子 『近世災害情報論』 塙書房 2003年
  • 首藤伸夫 「津波地震で発生した津波 1896年明治三陸大津波」(『月刊地球』 Vol.25, no.5 2003年)
  • 国立歴史民俗博物館編 『ドキュメント災害史1703-2003 地震・噴火・津波、そして復興』 国立歴史民俗博物館 2003年
  • 越村俊一「1896年明治三陸地震津波」 (『広報ぼうさい』No.28 2005年)
  • 『1896明治三陸地震津波報告書』 中央防災会議災害教訓の継承に関する専門調査会 2006年
(白石睦弥)

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