東京大学創立130周年記念事業「知のプロムナード」関連展示

鴎外と地図 −東京大学総合図書館所蔵鴎外文庫より−

2.江戸古絵図に見る加賀藩邸(上屋敷)

2−1.武州古改江戸之図 【書庫 鴎J81:85(鴎外文庫本)】

写本(書写地・書写者・書写年不明)
底本:承応2年(1653)新版
武州古改江戸之図表紙武州古改江戸之図 展示資料2−1・2ともに、鴎外旧蔵の江戸図である。
 明暦3年(1657)の大火以前、加賀藩上屋敷は江戸城辰口(たつのくち)に与えられていた(図中の「加賀犬千代」と表記されているところ)。また、この地図では範囲外となっているが、本郷にも既に加賀藩邸があり、当時は下屋敷として使用されていた。

2−2.享保十六年江戸図 【書庫 鴎J81:96(鴎外文庫本)】

江戸 須原屋茂兵衛 享保16 [1731]
享保十六年江戸図表紙享保十六年江戸図 明暦の大火後、加賀藩上屋敷はいったん筋違橋(すじかいばし)近辺に移転する。しかし、この新邸も天和2年(1682)の大火で焼失し、翌年から下屋敷であった本郷邸が上屋敷となった(図中の「加賀中将殿」と表記されているところ)。
 なお、下屋敷時代も、辰口邸が狭かったためか本郷邸が利用されることも多く、寛永6年(1629)の将軍御成(当時は3代将軍・徳川家光)は本郷邸で行われた。