漢籍コーナーは、文学部の各研究室が所蔵する漢籍(中国古典籍)を集中配架して教育と研究に活用するために、1967年に設置、1970年に利用開始されました。当初は法文2号館にありましたが、2004年2月に赤門総合研究棟6階に移転し、漢籍を伝統的な四部分類法で配架した「書庫」、貴重書を保管する「貴重書庫」、参考図書・利用者用PC・複写機を備えた「閲覧室」で構成されています。
漢籍コーナー
運営は、中国思想文化学、中国語中国文学、東洋史学、韓国朝鮮文化、インド哲学仏教学、言語学の6研究室が共同で行ない、中国学及び関連分野を学ぶための環境整備に努めています。部局内の専門図書室として総計10万冊を超える藏書をそなえ、基本図書、校訂本、参考図書がそろい、明清の原本を手にとって学べる環境は、関連分野の日々の教育や研究に欠かせない存在です。また、ここにしかない孤本や稀覯本を含めた貴重資料や、小倉文庫(東京帝国大学言語学科教授であった小倉進平旧蔵朝鮮語資料・朝鮮漢籍 https://da.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/portal/collection/ogura )・瀧田文庫(瀧田英二氏旧蔵日本禅籍)といったコレクションも特色となっています。近年、所蔵資料のOPACへの登録が終了し、小倉文庫のデジタル画像がインターネット上で公開されたこともあって(瀧田文庫も公開予定)、国内外の研究者の利用も増えています。
貴重書の中には、清末民初の学者傅増湘の識語がある『韋蘇州集』や明代に創建された天一閣旧蔵の『陶淵明集』(いずれも朝鮮版)など、明治以来の中国学の伝統を継承しつつ、アジア研究に力を入れてきた本学部ならではの書籍もあります。2024年度からはアジア研究図書館分室としての機能も担うこととなり、念願の週5日開室も実現しました。今後も、教育と研究のための専門図書室として期待に応えられるよう、充実を図っていきます。
『韋蘇州集』