ウェスト文庫(旧蔵ノート含む)は、お雇い外国人教師であったチャールズ・ディキンソン・ウェスト(Charles Dickinson West)の旧蔵資料で、工2号館図書室に所蔵されています。
ウェスト文庫
ウェストは明治15(1882)年に英国から来日し、東京大学工学部の前身である工部大学校、(東京)帝国大学工科大学の機械科、造船科で教鞭を取りました。途中で一時帰国したものの、25年間の教官生活の後、明治41(1908)年に日本で亡くなりました。
ウェスト文庫は単行本251冊と、製本雑誌5タイトル149冊、旧蔵ノート22冊で構成されています。分野としては、グラスゴー大学土木工学教授であるランキンの著作をはじめとする機械工学の本や船舶関係など工学関係の本が多くを占めます。旧蔵ノートの内容は、日本での講義記録、試験問題を貼付したもの、採点記録、その他ウェストの学生時代のノートや造船所で働いていた時期のものが含まれます。東京大学工学部の明治初期の教育内容や、お雇い外国人の様子を知る上で大変貴重な資料といえます。
ウェスト文庫は、2020年度に、日本機械学会の“歴史に残る機械技術関連遺産を大切に保存し、文化的遺産として次世代に伝えることを目的に、主として機械技術に関わる歴史的遺産「機械遺産」”の第100号に認定されました。
※コラムの内容は滝沢氏の「ウェストとウェスト文庫」の一部を再構成して流用させていただきました。