明治新聞雑誌文庫(以下、明治文庫)は、明治期の日本で刊行された新聞・雑誌の世界最大のコレクションを有し、明治から昭和戦前期にかけての新聞・雑誌、錦絵など関係資料を所蔵、公開している図書館です。国会図書館や他に所蔵がない資料も所蔵しています。
今回おすすめする資料は、「明治新聞雑誌文庫所蔵新聞号外コレクション」です。
大きな事件を速報する際、現在でも発行される新聞の号外ですが、インターネットがなく報道メディアが成長過程の当時、号外は現在以上に大きな影響力のある情報ツールでした。
国民新聞 明治38年9月3日 号外 (日露戦争 休戦条約調印の速報)
東京大学デジタルアーカイブポータル で見る
明治文庫では全国紙から地方紙に及ぶ2,000枚以上、発行新聞社は45社を数える号外を所蔵しています。2022年3月に、東京大学デジタルアーカイブポータルでオンライン公開を開始、「新聞号外コレクション」としてご覧いただけるようになりました。この規模での新聞号外の画像公開は「これまでになかった」と、大きな反響をいただいています。
東北日報 明治27年7月15日 号外 (県議会議員選挙結果の速報)
東京大学デジタルアーカイブポータル で見る
現在の号外は、新聞本紙と同型のものが一般的ですが、当コレクションでは、時代や状況で変化する様々な発行形態のものが集められています。明治文庫初代主任でジャーナリストであった宮武外骨が蒐集した、珍しい号外も含まれます。
また、当コレクションからは、日露戦争期に発行された多数の号外を見ることができます。当時、新聞社による空前の号外発行競争が全国的に繰り広げられていました。戦況が変化するにつれ、同日に複数回発行されていることが確認できます。ぜひご覧ください。
国民新聞 明治38年3月10日 第二号外
東京大学デジタルアーカイブポータル で見る
新聞号外は、劣化しやすく、サイズが多様で取り扱いに注意が必要でしたが、オンライン公開で利便性が飛躍的に高まりました。記事タイトルからのキーワード検索、発行年月日から、号外を探すこともできます。
「新聞号外コレクション」は、『学内広報』No.1565(2022)で紹介させていただき、メディアでの活用報告もあります。現在も多くの寄贈をいただき、随時デジタル化を進めている成長するアーカイブですので、今後もぜひご注目ください。
歴史が動いた瞬間には、たくさんの号外が配られました。いま一度、号外を通して、これまで日本が積み重ねてきた時代の変遷を振り返ってみてはいかがでしょうか。きっと新たな発見があるはずです。
関東新報 明治45年7月30日 第一号外(上) 第二号外(下)
東京大学デジタルアーカイブポータル で見る
なお、この号外のデジタル化は、寄付金によるご支援で可能となりました。ご支援いただきました皆様に、深く感謝申し上げます。