エルウィン・ベルツ
(Erwin Baelz ドイツ 1849−1913)

  東京大学医学部教師
  明治 9(1876)年6月7日−明治25(1892)年7月31日、
  明治26(1893)年8月1日−明治35(1902)年7月31日雇用

 ベルツは来日当初、生理学を講義したが、前任者が帰国するとその後を受
けて内科学を担当し、臨床の重要性を説いた。その他に産婦人科学、診断学
なども講義し26年間にわたって学生の教育指導と患者の診療に当たった。
その功績が認められ、明治25年には、医科大学名誉教師の称号が贈られた。
教鞭のかたわら、脚気の研究や温泉療法などにも多くの貢献をした。また、
旅館の女中さんの手のあかぎれを見て後に「ベルツ水」と呼ばれる薬をつくっ
てあげるといった、写真の厳しい映像とはうらはらに、優しさも備えていた。
東大退職後、宮内省侍医を勤め、明治38年に帰国した。医学図書館背後に
胸部銅像がある。


  1. 「内科病論 中篇」(初版) / エルウィン・ベルツ著、樫村清徳校閲、              伊勢錠五郎訳補   明治15(1882)年 刀圭書院   縦18.9cm、横12.8cm 387p   医学図書館史料室  ベルツが内科の講義をする時、あらかじめ学生に与えたメモを補訳し たものである。  
  2. 「鼈氏内科学 上・中、下巻」(初版) / エルウィン・ベルツ著、                   竹中成憲・本堂恒次郎・馬島永徳共訳   明治26(1893)年 金原寅作   縦21.8cm、横15.2cm 2冊   医学図書館史料室  本書はベルツが日本の医師のために、日本での経験をもとに臨床に必 要な知識を書いたものである。臨床を重んじるベルツの主張があらわれ ている。
  3. Lehrbuch der Inneren Medicin mit besonderer Ruecksicht   auf Japan bearbeitet. Band I・II, III / E. Baelz   1900−1901年 T. Kanahara   縦22.5cm、横15.0cm 2冊   医学図書館書庫 V500:1  「鼈氏内科学」の原書。
  4. 「日本鉱泉論」 / エルウィン・ベルツ著、中央衛生会訳   明治13(1880)年 中央衛生会   縦18.7cm、横12.8cm 62p   総合図書館書庫 V46:83  日本には多くの温泉があり療養に利用されているが、これを指導する 機関がない。政府は患者に温泉治療を指導すべきであると説いている。
  5. ベルツ自筆の履歴書と業績目録   (文部省往復)明治16年4月20日付   縦29.1cm、横41.1cm   東京大学史史料室  この履歴書は7年間の教鞭に対する叙勲申請に添付された自筆書類で ある。
  6. 写真(東京大学医科学部卒業生とベルツなどの外人教師)   明治13年7月   縦20.1cm、横25.8cm   医学図書館史料室  明治13年の東京大学は1年間が9月から始まる西洋式の学期制を採 用していた。その時の第1回卒業生(一部)の写真である。
  7. ベルツ水   「第12改正日本薬局方解説書」(広川1991年)収載の   「グリセリンカリ液」のコピーと「ベルツ水」の空箱   縦5.0cm、横5.0cm、高さ10.9cm  箱根の旅館の女中さんに処方したのがはじまりといわれる「ベルツ水」 は、現在も「ベルツ水」の別名で市販されている。正式名称は「グリセ リンカリ液」という。
  8. 年金給与証明書   ベルツの遺品 証書番号第25号   明治35年   縦27.7cm、横37.2cm   医学図書館史料室
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