ごったんおしょう ごろく

24. 兀庵和尚語録    1巻 1冊


宋釈普寧語 宋釈浄韵等編 鎌倉末景用刊本
左右双辺 有界 毎半葉11行20字(注文小字双行)
白口 単黒魚尾 魚尾下篇名等、丁数 内匡郭19、2×11、7糎

 兀庵普寧(ごったんふねい)は無準師範禅師の法燈を嗣ぐ宋末の高僧であったが、宋景定元年、即ち我が文応元年に北条時頼の招きに応じて六十四歳のころ来日し、鎌倉建長寺に住した。時頼との交遊は篤く、語録にも両者の問話を収める。滞在五年、時頼の死後、この地にあきたらず帰宋した。

 この語録は、来日前、滞日中、帰宋後それぞれの時期における禅師のことばをまとめたものであって、弟子の浄韵、清沢、道昭、景用、禅了が編にあたった。本館所蔵本は、本文など70葉の他、序文と尤■、無準、道沖、心月の跋を具備した完本である。

 底本たる中国版はもともと存在せず、日本人の弟子、景用が宋元版の版式を模してわが国で開板したものであり、「小師景用命工■板」の木記が見える。版式、字様とも宋元版のごとき風格を備え、旧蔵者の一人は見誤って「宋版兀庵和尚語録」と桐箱に墨書したほどである。「徳」「含雪巣」の印記を残し、太田道灌に由来するもの。

(丘山新・古勝隆一)


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