らいき ちゅうそ

9.礼記注疏  63巻 30册


漢鄭玄注  唐孔穎達疏  明崇禎12年  古虞毛氏汲
古閣刊十三経注疏本 左右双辺 有界 9行21字(注文小字双行)
白口 無魚尾 版心題 礼記疏 以下巻数丁数 版心下部汲古閣
内匡郭17、8×11、8糎
 本書は唐太宗の貞観中、孔穎達等に詔して撰せしめた五経正義の一。そののち宋代に至り、論語・孟子等を加え、十三経注疏として定着し現在に至る。注疏本はこれ以前に既に数種の版本があるが、なかでも汲古閣本は原刊以後、多くの後印・後修本があり、本書もそのいずれかであろう。

 上眉に根本遜志の校語があり、宋本・嘉靖本・萬暦本・足利本等との対校を示す。特に足利本については、巻53末に享保5年山井鼎とともに足利に赴き、上杉憲実寄付の宋版により、中庸を校したことが遜志自筆にて記されている。また卷5・13・24・36・38・39・40・50・55・58・59の各末には島田翰による読書記があり、おおむね明治31年7月か8月に当たり、その都度家大人の病を気遣う語がある。家大人とは島田重礼のこと同年卒去である。巻63末には明治32島田鈞一の識語があり、根本・山井両氏による校讎について触れる。またこれによれば本書の島田氏購入は31年春である。「南葵/文庫」「島田氏雙/桂楼收蔵」の印、また島田鈞一識語末に「雙桂/石人」の印記がある。

(高山 節也)


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