ぶっかえん ごぜん へきがんろく

7.仏果圓悟禅師碧巌録   10巻 10冊


宋釈重顕頌古 宋釈克勤評唱 室町初期能州総持寺刊本
四周双辺(有左右双辺葉) 有界 11行21字
(注文中字単行、小字双行) 中黒口 三黒魚尾
上魚尾下「碧巌」、巻数 中魚尾下丁数 句点附刻
内匡郭17、7×11、8糎
 北宋の雪竇重顕(せっちょうじゅうけん)がまとめた頌古百則という百の韻文に対し、後の圓悟克勤(えんごこくごん)が評価と唱和を施した代表的な公案。通称、碧巌録。南宋初に刊行され広まったものの、後学の気風が虚にながれたのを戒め、大慧宗杲(だいえそうこう)禅師はこの書を一炬に付して固く禁じ、元初までは読む者がなかった。

 元の大徳年間、杭州の張明遠が成都大聖慈寺にあった版本を見いだし、それに他の禅刹の諸本で校勘を加えて出版した。張氏刊本は日本に伝わり、その覆刻たる玉峯刊本や東福寺版などの五山版が生まれた。

 本館蔵本はその東福寺版の系統に連なる版本で、能登の総持寺において刊行された地方版。張氏刊本の原刊記の他、封面に「本朝能州■持禅寺置焉」、巻2末に陰刻「施主栄林総繁菴主」、巻3末に陰刻「前総持承天大和尚奉報御恩也」の刊記が見える。

(丘山新・古勝隆一)


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