さでん せつよう

6.左伝節要    66巻 12冊


□闕名輯
朝鮮〔仁祖孝宗間〕木活字印本
日本改装(丹表紙)、五針眼釘法、日本改糸、34、4×21、8糎
左右双辺、内框25、5×17、0糎、有界、10行17字、
註双行字数同、上下内 向花紋黒魚尾、魚尾間「左伝節要巻之幾 幾」。
 本書は『春秋左氏伝』の節要本で、中国或は朝鮮の何人の手に出るのか未詳。巻1は魯隠公元年より始まり、巻66は哀公9年で終る。巻66尾題は、「左傳節要巻之六十六」とあって、本書が全66巻であるか否かも確かでない。巻66後に補鈔がある。

 本書は銅活字(甲寅字)に倣った木活字による印本で、仁祖孝宗間、即ち17世紀半頃の刊本と思われる。訓錬都監字(甲寅字体)の可能性が大である。一方豊臣秀吉の朝鮮侵略直前の刊本である可能性も否み難い。

 本書には朱点・朱引・返点・送仮名や付箋等が多く、よく読まれているが、後述の丈山の手が入っているかも知れない。

 「詩仙堂」「紀伊国/徳川氏/図書記」「南葵/文庫」の印三顆があり,嘗て石川丈山(1583−1672)旧蔵書で、後に紀州徳川家に帰し、南葵文庫から東大に寄贈されたものである。本書は他に所蔵をみないようである。

(藤本 幸夫)


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