11 エロキューショナリー・リーディング
米国では、とりわけエロキューショナリー・リーディングが盛んであったらしく、下に示すような各種の専門的なマニュアルが刊行されている。これらは発声法から始まり、抑揚のつけ方、各種の強調法、ピッチの取り方、間合いの置き方、さらにはテキストが表現する怒りや喜びの感情、ないし荘重や悲壮の感覚などをどのような声音で示すかが説明されている。とりわけ注意を要するのは、朗読の際の身振りの説明であり、各種の感情・感覚ごとにそれにふさわしい身振りが図解されている。こうした各種の抑揚や身振りは記号化され、巻末に例示されたテキストの各所にその記号が付けられ、それに従ってエロキューショナリー・リーディングが練習できるように工夫されている。
- Merritt Caldwell, A Practical Manual of Elocution embracing Voice and Gesture, New York & Boston, 1845. [個人蔵]
- Alexander M. Bell, The Elocutionary Manual ; the Principles of Articulations and Orthoepy ; the Art of Reading and Gesture, London, 1859. [個人蔵]
このアレクサンダー・ベルは電話の発明者ベルの父で、音声学の研究者。
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