3 洋書教科書の貸与システム


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 幕末の洋学者がいかに語学の修得に苦労したかは、福沢諭吉の『福翁自伝』などによって明らかである。 欧米との経済格差のために輸入される洋書はきわめて高価であったから、これを購入することのできない貧しい洋学者は、たいへんな手間暇をかけて文法書や読本を筆写し、しかる後にようやくその学習にとりかかる状態であった。 この洋書教科書を大量に用意して学生に貸出するシステムを思いついたのは福沢諭吉であり、福沢は慶應3年(1867)、二度目のアメリカ行きに際して、自分の塾のために教科書を買い込んだ。 大学南校もまた、多額の報酬によって米・英・仏・独から外国人教師を招聘するかたわら、相当な額にのぼる予算を投じて洋書教科書を買い入れ、これを学生たちに貸与して彼らの学習の便宜を計った。

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