先端科学技術研究センター(通称 先端研)図書室に「いわゆる貴重書」はありませんが、「先端研を自慢したい!」構成員の手になる、魅力あふれる希少な図書があります。
ここに集う研究者は多くが短い任期で去っていきますが、先端研での研究・交流を楽しみ、先端研を発信する著作を生み出しました。
そんな自慢の「1,000万分の3」冊が、『先端研探検団報告 / 先端研探検団[著](全3冊)』です。これは立花隆先生が率いた「先端研探検団」による報告レポートです。
立花隆先生は1995‐1998年に客員教授として先端研に在籍されました。立花先生が一人始めた先端研内の「探検」をきっかけに、学生や教職員が集い「先端研探検団」は組織されます。
前身は帝国大学航空研究所だったキャンパスには、風洞が収まる1号館や工作工場など多くの歴史的建物があります。「探検団」は、先端研内の古い建物を「探検」し(第一回)、謎のフィルムを発見し、資料を復刻し(第二回)、当時を知る人にインタビューし(第三回)、歴史的探究を行いました。
この探検団の活動は歴史を振り返る貴重な情報となり、テレビや新聞などメディアでも紹介されました。最新刊の立花先生の評伝『神と人と言葉と 評伝・立花隆 / 武田徹[著]』でも、先端研探検団について頁が割かれています。そして、当時の若き団員の多くが、今や各分野の研究を率いる「団長」となっています。
本書は全3冊で、団員である齋藤敬氏(現 秋田県立大教授)のイラストを配した表紙からも当時の活動の熱気が伝わってきます。第一回、第二回報告書は簡易な平綴じ冊子であり、特に第一回報告書は印刷からホッチキス止めまで全てメンバーの手作り、という大変貴重なものです。
画像にある資料の表紙イラスト・デザイン: 齋藤敬