現在の総合図書館は、関東大震災での焼失の後、ジョン・ロックフェラーJr. 氏より400万円の寄付を受けて1928年(昭和3年)に完成したものです。震災での教訓を生かし鉄骨鉄筋コンクリート造りの頑強な構造を備え、さらにゴシック風の細部とアーチを外観に持つデザインとなっています。このような歴史的経緯のある建造物でもあることから、今回のプロジェクトでは構造と外観をそのまま保存し、内部のみを全面改修することにしました。開架式の明るくオープンな書架スペースを設置し、広く閲覧しやすい環境を整えます。
ここでは総合図書館の歴史を「震災以前」と「震災以後」に分けて、さらに「震災以後」は、震災直後から昭和初期までの「図書館再建」の時期、戦時中から昭和40年頃までの時期を「戦中・戦後の総合図書館」としてご紹介します。
東大図書館の歴史年表
明治10年
東京大学が創設され、法理文三学部図書館が設置されました。
明治25年
煉瓦造りの図書館(帝国大学図書館)が新築されました。
明治40年
著しく増加する蔵書に対処するため、書庫が増設されました。
大正12年
関東大震災により図書館は全焼し、76万冊にも及ぶ蔵書の大部分が灰塵に帰してしまいました。
昭和3年
J.ロックフェラーJr.氏からの寄付を財源に、図書館が再建されました。また震災直後より国内外から数多くの図書の寄贈をいただきました。
昭和20年
太平洋戦争で東京一帯が焼け野原になる中で、図書館は空襲の被害を免れました。
昭和30年後半
岸本英夫館長による改革のなかで、図書館機能の向上のための全面的な改修が行われ、参考室等が新たに設置されました。このとき、図書館は「総合図書館」に改称されました。
昭和60年前後
総合図書館の大規模改修が行われ、開架図書の拡充、地下書庫の増強等が行われました。
現在
新図書館計画を推進中。