東京大学は教育と研究のための新たな拠点として、本郷キャンパス総合図書館を大幅に拡充する東京大学新図書館計画「アカデミック・コモンズ」を推進します。これは、図書館前広場の地下に新館を建設し、伝統ある本館は外観を保存したまま内部を全面改修する、というものです。次の世代に受け継ぐ、新学術拠点の建設。その実現に向けてさまざまな取り組みが始まっています。
新図書館計画計画の全貌を学生サポーターとともに紹介したパンフレットもあわせてご覧ください。
※2016年4月に第2版刊行しました。
『図書館の窓』Vol.55, 増刊号 (2016.4)[PDFファイル:11.2MB]
全体像

新図書館がめざすもの
1.電子図書館と伝統的図書館の融合
本館前広場の地下に、新館を建設、約300万冊収容可能な巨大な自動化書庫をつくります。このため本館では、より多くの本を手にとることが可能なスペースが生み出されます。電子情報と実物の本との間を自由に往き来する「ハイブリッド図書館」が誕生します。
新館自動化書庫は、これまではなかった、文系雑誌のバックナンバーを部局を超えて集中的に収蔵する書庫となります。自動化書庫に収蔵された資料は、本館のカウンターで受け取ることができます。
一方、本館では現在の閉 架書庫が改修されるなど、明るく利用しやすい環境に変わります。本館と新館から成る新図書館は、学際的・国際的な研究学習図書館としての機能をさらに高め、デジタル化への対応等、分野横断的なニーズに応えていきます。
2.世界最高水準のアジア研究図書館
本館4階には、アジア研究のための第一級の学術資料、貴重な蔵書やコレクションを集めます。各国の研究者が集う世界最高水準のアジア研究環境をつくります。
→「アジア研究図書館」とは何か?
3.教育との連携と国際化への対応
新館の地下1階に、学生たちの学習や自主的・能動的な研究活動をサポートする学びのための交流広場「ライブラリープラザ」(仮称)を作ります。 これは、東京大学が推進する、教育の改革や国際化の取り組みと連動しています。
4.日本の学術文化の世界への発信
上野・本郷地区には、不忍池を囲むように、日本の中心的な博物館、美術館、大学が並んでいます。新図書館は、これら近隣の文化施設と緊密に連携して、世界への日本文化の発信の一翼を担います。
5.出版文化の公共的基盤
電子メディア時代の現在、活字文化は大きな変化を迎えています。新図書館は、大がかりな電子化を進めると同時に、実物の書籍を確実に管理、活用し、学術の発展に役立てていきます。
完成までのロードマップ
新図書館の取り組み
デジタル・プロジェクト
以下のような項目について、順次推進していきます。
- 学術情報資源へのアクセス環境整備、全学のデジタル情報資源の統合的活用基盤の構築
- 過去から現在にわたる、東京大学教員の著作を中心とした学術アーカイブ構築
- デジタル・ライブラリアンの育成体制への貢献、デジタル人文学を基礎とした学内MLA連携
- 東アジア総合学術アーカイブの構築
景観・安全・環境への配慮
建築計画はキャンパス計画室と連携し、全学の長期的な構想を見据えて計画・実施します。人命および資料の安全を最優先し、周辺環境に充分配慮します。