ルードウィヒ・リース
(Ludwig Riess ドイツ 1861−1928)

  東京帝国大学文科大学史学教師
  明治20(1887)年2月4日−明治35(1902)年7月31日雇用 

   ベルリン大学で学位を取得してのち来日。史学科の講義を担当。国史科の
創設、史料編纂所の事業、「史学会雑誌」(今の「史学雑誌」)の創刊にかか
わり、ドイツ東亜学会、日本アジア協会などで日本研究の成果を発表した。
賜暇帰国中に集めた在外日本関係資料は明治32(1899)年5月27日の
東京帝国大学図書館の展覧会にも展示された。大塚ふくを妻とし、村上直次
郎・幸田成友・辻善之助らが門下にいた。

  1. Notes of a course of lectures on universal history / Ludwig Riess   1893年    縦19.7cm、横13.4cm 第2・5巻   総合図書館書庫 G400:113  文科大学史学科学生の1人であった幸田成友(こうだしげとも、露伴の 弟、歴史家)が「自分共は先生の世界史講義の草稿を拝借し、それを秀英 舎で活版に附して同輩に配った」(「著作集」7)と回想した「世界史講義 録」の第2・5巻の2冊である。
  2. Methodology of history / Ludwig Riess   縦20.0cm、横13.6cm   総合図書館書庫 G000:203  「史学方法論講義録」。学生の1人村上直次郎(のちの上智大学学長)は 「先生の英語は、初めはだいぶ骨を折ったけれども、なれてくるとわかり いい方でした」(「キリシタン研究」12)と回想した講義。プラトンから ヘーゲルへ、ランケからエンゲルスへと話題は豊富であるが学生のノート に加筆したものか、著作としての章別構成のバランスを欠くのが面白い。
  3. リースの答申書   「東京帝国大学50年史」上 1932年    縦22.6cm、横15.7cm 1299−1303p   総合図書館参考室 K40:269  文科大学史学科に加えて国史科(日本歴史学科)が設置され、内閣修史局 の編年史編纂事業が文科大学に移管された明治21(1888)年、リース は帝国大学総長渡辺洪基の諮問に答えて、国史科の課程や運営につき詳し く意見を述べ、併せて日本歴史研究にオランダ国立中央文書館の資料が役 立つことを進言した。出典の「本学貴重書類彙集」は今見当たらないので 「50年史」の引用箇所を示す。
  4. 附属図書館公開展覧会目録(コピー)   「史学雑誌」第10編第7号(1899年7月) 764−765p   総合図書館書庫 ZG:9    明治32(1899)年5月27日、帝国大学では、附属図書館で法・文・ 理の3分科大学と附属図書館の所蔵品を一般公開展示した。そのなかには 「ドクトル・リース」が仲介してオランダで筆写された「日本和蘭交通ニ 関スル文書」(7号、765p)も陳列された。展示品の多くは関東大震災 (1923年)のとき焼失したがこの写本は今も史料編纂所に残っている。 この展覧会の目録は「史学雑誌」第10編の第6号と第7号に掲載された。
  5. Uittreksel uit de copij en originelen generaele  missiven van de Gouverneur−Generael ende Raeden  van Indie, betrekking de zaeken van Japan 1614−1639.    [1893]  Title also: オランダ商館関係文書   縦32.3cm、横19.3cm    [copy] [Manuscript] [800]p(in a paper holder)       史料編纂所 7098−3  リースが明治26(1893)年賜暇帰国のさい、オランダ国立中央文書 館で作成させて持ち帰った「バタヴィア総督一般報告」(1614−39年) 中の日本記事抜粋で、関東大震災のとき焼失をまぬがれて「大日本史料」 第12編の欧文材料として利用されているもの。東京大学総合図書館「傭 外国人教師・講師履歴」および「史学雑誌」第10編第7巻の記事参照。
  6. Allerei aus Japan / Ludwig Riess   1905年 Berlin   1巻 : 縦18.1cm、横11.7cm   2巻 : 縦18.1cm、横11.4cm   総合図書館書庫 J210:6  「日本雑記」。リースが滞日中発表した論文・小品やその後ドイツの新 聞に時として匿名Th. Gravenreuthと Th. Gentz で寄稿した日露戦争前後 の記事を集めて文庫本2冊として刊行したもの。原潔らの抄訳「ドイツ歴 史学者の天皇国家論」がある。
「2.東京大学への貢献」へ戻る