いかくりょう ざっき

34. 猗覚寮雑記    2巻 2冊


宋朱翌撰 清繆晋校 乾隆中武英殿木活字印本 有補鈔
四周双辺 有界 毎半葉9行21字(注文小字双行)
白口 単魚尾 版心題猗覚寮雑記 魚尾上書名 魚尾下巻数丁数
内匡郭18、4×11、8糎

 朱翌(1097−1167)、字(あざな)は新仲、号はせん山(せんざん)居士・省事老人、舒州懐寧の人。宋の南渡の後、秘書監となり、中書舎人を経て、厳州・潭州等の知事となった。著書には外にせん山集がある。

 本書は、上下2巻全444則(テキストによっては435)から成り、上巻には詩話が、下巻には史事に関する雑文等が収められている。猗覚寮とは、著者が左遷されていた時寄寓した禅房の名。

 出陳本は、清の乾隆年間(1736−95)に紫禁城内の武英殿で木活字を用いて印刷されたもの、いわゆる武英殿聚珍版の一つである。展示の部分は、三国魏の曹操が、禰(でい)衡を辱めようとして却って遣り込められる有名な場面であるが、活字印刷に特有の誤植、即ち文字の上下が逆向きに印字される例があり、「單絞」の「單」の字が見事に引っくり返っている。(6行目、下から2文字目)。

(山本 仁)


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