しゅんじゅう しょうでん たいぜん

32. 春秋集傳大全  37巻 3冊


明胡広等奉敕撰
朝鮮英祖14年銅活字(戊申字)印本
原表紙、五針眼釘法、日本改糸、35、0×12、5糎、
四周単辺、内框25、8×17、2糎、有界、
10行18字、註双行字数同、上下内向花紋黒魚尾、魚尾間「春秋集傳幾 幾」。

 明初に五経大全が刊行されて朝鮮に下賜されて以来、屡々刊行されている。本書は顕宗9年戊申(1668)に鋳造された戊申字で印刷されているが、「春秋二十国年表」のみは木版である。

 本書には朝鮮に独特な内賜記(宣賜記)が附されている。これは官版出版時に、国王から臣下や官衙に下賜された旨の記録で、第一冊前表紙裏に墨書され、第一冊首には「宣賜/之記」なる印が@される。本書には「乾隆三年五月初五日/内賜行議政府左参賛趙尚絅春秋集傳一件/命除謝/恩/右承旨臣李(花押)」とあり、乾隆3年、即ち英祖14年(1738)5月5日に趙尚絅に下賜されたことが判る。

 この年が一般には刊年と認定されるので、内賜記は重要な意味を有する。趙氏は従一品の敦寧府判事に至った人物である。毎冊首「世/豐壌/家」「趙尚/絅子/章印」、毎冊尾「鶴/塘」なる印三顆は、趙氏のものである。東大には豐壌趙氏旧蔵書が多く所蔵されている。

(藤本幸夫)


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