かいさんそうがく がくぶ ぼくおう せいちゅうろく 

30. 会纂宋岳鄂武穆王精忠録   6巻図1巻 4冊


□闕名原撰 明麦□増補
朝鮮英祖45年銅活字(戊申字)印本 帯図
原表紙、五針眼釘法、日本改糸、33、5×21、6糎、
四周単辺、内框26、3×17、3糎、有界、10行18字、
註双行字数同、上下内向花紋黒魚尾、魚尾間「精忠録幾 幾」。

 本書は宋の武将で、金への抗戦を主張して獄死させられた、岳飛を顕彰するために編纂された書である。

 本書は朝鮮において、既に宣祖18年(1585)銅活字(癸酉字)印本があり、宮城県立図書館蔵本には、弘治14年(1501)巡按浙江監寮御史陳銓序・宣祖19年李山海序が附されている。

 本英祖45年(1769)刊本には陳・李両序の他に、同年の具允明書肅廟御製序・李瀰後序、弘治14年趙寛序・宣祖19年柳成龍跋を有する。宮城本は巻1図1巻1冊の残本であるが、趙序、柳跋を失ったものと考えられる。これら序跋によれば、鎭守浙江太監麥が従来行われていた『精忠録』に増補を加え、弘治14年に陳銓に序を属して刊行した。宣祖17年に北京に行った通訳官がその書を購入して持ち帰り、翌年王命で刊行された。

 本英祖刊本は、この宣祖18年刊本を底本としたものである。朝鮮では挿図は少ないが、本書のものは精刻である。各冊首「清/風」「金印/益章」なる同一人の印がある。

(藤本幸夫)


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