とうせい せつちゅう

18. 陶靖節集 10巻    坿陶淵明伝1巻総論1巻 3冊


晋陶潜撰 伝梁昭明太子蕭統撰  万暦七年華亭蔡汝
賢刊本 有批注
単辺 有界 毎半葉9行毎行18字 白口 無魚尾
版心題陶集 内匡郭19、9×12、9糎

 本書は陶潜(365〜427)の詩文集である。淵明は別名。こちらの方が通りがよい。字は元亮。私諡を靖節、号を五柳先生といった。潯陽柴桑の人。没落官僚の家に生まれ、十三年に亙って出仕と辞任を繰り返したが、彭沢令以後は郷里に隠棲し、帰去来辞、帰田園居などの作品を書いた。田園詩人として知られる。

 展示本には狩谷■斎(1775〜1835)の蔵書印(狩谷望之、狩谷■斎)や伊沢蘭軒(1777〜1829)の蔵書印(伊沢氏酌源堂図書記、湯島狩谷氏求古楼蔵書記、芳桜書院、都梁、笑僊、■斎、三養堂)、蘭軒の嫡子榛軒の蔵書印(信厚、朴甫)が捺されており、その旧蔵書だったことが知られる。墨筆で批評が、朱筆・藍筆で校注が施される。版心下部には刻工の名が見える。

 なお同版の林羅山(1583〜1657)手校本が内閣文庫に蔵されている。

(大塚 秀高)


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