しんこく ぜんぞう ちゅうぎ すいこしでん

17. 新刻全像忠義水滸誌伝    25巻105回 8冊


元施耐庵撰 □姚宗鎮輯 □鄭国揚校 明劉欽恩刊本 藜光堂蔵板 有批注
単辺 無界 毎半葉15行毎行34字ないし27字
白口 単魚尾 版心題忠義水滸 魚尾上書名 魚尾
下巻数丁数 内匡郭21、2×11、6糎

 本書は田虎・王慶部分を有する水滸伝の簡本の一種。東京大学東洋文化研究所所蔵で同じタイプの劉興我本にやや遅れ、崇禎間に福建泉州で刊行されたかと推定されるもの。上図下文本の特殊タイプで、嵌図本とよばれる。15行のうち左右3行ずつが行34字、中央の図の下部9行が行27字。図上郭外に8字の表題を横書する。この形式の水滸伝の簡本には、慕尼黒(ミュンヘン)本、李漁序本がある。版心にまま藜光閣と見えるが藜光閣と同一書肆と考えてよかろう。海内の孤本。

鴎外蔵書、林太郎、集義精舎の印記が見える。鴎外文庫は鴎外森林太郎の寄贈した和漢書の総称。寄贈の経緯については山田珠樹の「鴎外文庫の寄贈顛末」に詳しい。

(大塚 秀高)


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