しゅんこう とうしろく      かし

16. 春江燈市録  2巻   花史 2巻 4冊


清梁渓瀟湘館侍者撰 光緒10年刊本
左右双辺 有界 毎半葉9行17字 黒口 単魚尾
魚尾下丁数、元亨利貞 内匡郭10、3×7、2糎

 清末上海の花柳界のようすを記した書物である。通説にあたる「燈市録」と妓女の列伝である「花史」からなるが、版心に各巻ごとに元亨利貞の文字があり、一連の書物として刊行されたことがわかる。依田学海の旧蔵書。全編にわたって学海の書き入れがあり、批点が施されている。明治17年(1884年)に岸田吟香(洋画家岸田劉生の父)から贈られたものという。巻一には岸田が上海で開いていた薬肆楽善堂についての記述もある。

 著者瀟湘館侍者の瀟湘館とは、清代の長編小説『紅楼夢』の舞台大観園のなかでヒロイン林黛玉が住むやしきの名である。

 (大木 康)


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