てんもく ちゅうほう おしょう こうろく

2.天目中峯和尚広録   30巻附録1巻 15冊


元釈中峯明本語 元釈慈寂等編 室町初期刊後印本
上下単辺 無界 毎半葉9行17字 界高24、5糎

 元代に名を響かせた禅僧、杭州天目山の中峯明本(ちゅうほうみょうほん)の語要やその撰になる題跋などを門下の慈寂らがまとめたもの。元の元統2年に勅命によって元蔵、即ち普寧蔵に入蔵し、翌3年に明瑞らが大普寧寺において開板した。本館所蔵の室町刊本は、原刻たる普寧蔵本を底本とする。

 もともと折本である元蔵を覆刻し、方冊に仕立てるように印刷したもので、折本の半折三つ分にあたる18行を、毎一葉に印刷してある。このため冊子本の常と異なり左右の匡郭も版心もない。また上下に大きい折本を底本としているため、五山版では珍しい大型の本となっている。

 本書は、もと京都東福寺の善慧院が蔵し、後に本館が集めた「善慧院本」の中の一部でる。東京帝国大学の用箋に綴られたその目録には、古写本、五山版、古活字版の禅籍など百点ほどの書名が並ぶが、震災で大部分を失った。本書は「善慧軒」の墨印を留める。

(丘山新・古勝隆一)


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