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ごあいさつ
 東京大学附属図書館では、毎年、全学で所蔵する貴重な資料を学内外の皆様にご覧いただくため特別展示を行っています。

 平成24年(2012)は森鴎外の生誕150周年に当たりますので、今年度は、総合図書館で所蔵している鴎外の旧蔵書、鴎外文庫から厳選した資料を展示いたします。鴎外が愛蔵した資料を通して、明治の文豪の書斎を想像しながら鴎外の知識の源流に当たるものを味わっていただけるよう企画いたしました。

 鴎外文庫は、千冊を超える武鑑(大名や旗本の姓名・出自・職務・石高等を掲載した名鑑)や江戸古地図をはじめ、和・漢・洋の幅広い分野にわたり、総計は19,000冊に上ります。今回の展示では、「若き鴎外」「家族と友人」「知識の沃野」「作品の原点」の4つのコーナーを用意し、鴎外が読書をしながら書入れをした蔵書や自筆本のほか、蔵書の裏貼りに用いられた母親への手紙など、約70点をご紹介いたします。

 東京大学総合図書館は、大正12年(1923)の関東大震災で図書館の全焼、資料の焼失という甚大な被害を受けました。その後、ロックフェラーJr.の寄付による図書館の再建に加え、国内外から数多くの資料の寄贈をいただきました。今回展示いたします鴎外文庫も、大正15年(1926)1月に森鴎外の遺族から寄贈されたコレクションです。ところが当時の図書館の整理方針に基づき、長らく各分野の書架にばらばらに収められていたため、資料の別置と書入れ状況の悉皆調査が行われて全貌が明らかになったのはつい最近のことです。その成果とも言える、鴎外文庫書入本画像データベースが公開されておりますので、そちらも併せてご覧いただければ幸いです。

 このたびの展示開催にあたり、鴎外文庫書入本画像データベースの調査でご尽力いただいた東海大学文学部出口智之講師のご寄稿ならびにご指導をいただき、展示期間中にはご講演を賜ることとなりました。ここに厚く御礼申し上げます。

 平成24年10月

東京大学附属図書館長 
古 田 元 夫

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