室町物語。室町時代成立。通称「文正草子」。祝儀物。粗筋は、もともと卑賤の身に生まれた者が、塩焼きのわざを営むことによって長者となり、鹿島の大明神から授かった娘二人もそれぞれ関白の若君、帝と結ばれ、自身も大納言に任ぜられて、一家ことごとく栄華を極めたという、意外性に富んだ、めでたい事ずくめの内容の物語。女子の正月の読み始めの吉書とされたり、嫁入りの調度品に加えられたりなど、豪華な絵巻物や奈良絵本が多数作られた。