著者は江戸時代中期の儒学者・荻生徂徠(1666-1728)。中国の儒学では古来より礼楽(礼儀と音楽)が論ぜられてきたが、徂徠もこれを重視した。本書は日本の音楽の歴史についての著作で、日本の楽律は六調のみであることを述べ、その淵源に遡って詳述している。注は山県大弐(1725-1767)で、山県は徂徠の曾孫弟子にあたる。 書写者は北方探検で有名な近藤重蔵(1771-1829)。諱は守重、正斎・昇天真人と号した。巻頭に近藤の蔵書印である「正斎蔵」の印が見える。