日本における「長恨歌」の注釈書に35面の挿絵を加えて江戸時代前期に刊行されたもの。「長恨歌」を絵画化することは『源氏物語』にもみえ、古くからよく行われていた。跋文を記した京都の絵師狩野永納(1631-1697)によれば、この挿絵は父・山雪(1589-1651)の作を自ら補い編集したものという。参考資料として展示した山雪の「長恨歌図巻」(アイルランドChester Beatty Library所蔵)と本書との間には共通する場面が多く見られる。