唐の玄宗皇帝と楊貴妃との悲劇を題材にした七言の長編詩「長恨歌」は、作者である中唐の詩人白居易(772-846)とともに、早く平安時代から日本文学にも大きな影響を与えてきた。本書は、同時代人である陳鴻作の同じ題材による小説「長恨歌伝」に、白居易の作品「長恨歌」「琵琶引」、梁(502-557)の宝誌作とされる予言詩「野馬台詩」を合綴したもので、室町末期から江戸初期に流行した。