江戸時代中期の儒者新井白石(1657-1725)が、清の魏憲(字は惟度)作とされる八居詩に和韻した詩を集めたもの。旧蔵者萩野由之(1860-1924、東京帝国大学文学部教授、日本史・文学者)による奥書には「白石先生手書」とある。ちなみに、八居とは人間の8つの場所のすまいのことで、和韻とは他人の詩に和し、同一の韻を用いて詩を作ることをいう。本書には室鳩巣、服部寛斎・橘洲兄弟、土肥新川、坂井桃渓、新井白石6名による48首の七言律詩が収録されており、全て「渓・西・鶏・斉・啼」の字で韻が踏まれている。