享保7年(1722)享保の改革以来、好色本の出版は禁止されていた状況下で、寛政3年(1791)京伝の洒落本3冊「娼妓絹麗」「錦之裏」「仕懸文庫」が蔦重から出版された。3冊とも浄瑠璃や歌舞伎で知られた人物を登場させ、巧みに舞台の設定を変えてはいるが、深川や吉原の遊郭を題材にしており、発売に際し袋表に「教訓読本」と記して販売した。この3冊は、行事改め済みの刊行にもかかわらず、禁令に触れるとのことで奉行所の吟味するところとなり、京伝は手鎖五十の刑を申し渡された。
詳しくはパネル「吟味始末書」のとおり。