京伝の考証随筆である。凡例によれば、古い時代の考証は良くされるが、さほど昔の時代ではないため疎かに扱われがちな近世初期の事物について、考証したという。
また考証にあたっては、些細なことでも典拠が得られなければ載せない、“奇を好むにすぎて、あらぬ虚譚(きょだん)を述べ、考え疎かにして口碑の誤りを伝うる説と同じく見ることなかれ”とあり、考証内容に自信のほどが窺える。
本書は馬琴の旧蔵書で、巻之五「英一蝶傳」と同巻末に馬琴の自筆書入跡が認められる。当館所蔵の馬琴自筆本「馬琴日記」の筆跡と比べて見るのも面白いかもしれない。
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