江戸化政期、国内紹介として名所絵図が数多く発行されたが、本書は明らかにそれらとは一線を画するもので、史跡・名勝、法律制度、人物故事、器物・風俗などを記している、いわば中国清時代の歴史地理研究書といえる内容である。
「引用書目」に掲げられた資料は実に51点にも及び、鎖国下のもと可能な限り資料を収集した跡が窺える。地理関係は「輿地一統各府全圖」「宸垣識略」、祭祀・礼楽は「欽定万寿盛典」「欽定南巡盛典」、器財・衣服は「皇朝礼器圖式」「欽定霊台儀象志」などを参考にしている。
全六編で中国全土を対象とする予定であったが、残念ながら二編以降は刊行されなかった。
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