浄瑠璃の語り方は、秘伝とされ素人の浄瑠璃愛好家が語り方を知ることは困難であったが、宇治加賀掾によって節付の浄瑠璃本が初めて刊行された。こうした稽古本は、段物集と呼ばれる名場面を集めたものから、全段を収めた正本(丸本)まで幅広く刊行された。 展示資料は、浄瑠璃10作品の中から、乱曲と呼ばれる技巧的でクセのある曲を選んで収録した頭注付絵入段物集で、稽古本刊行初期に出版されたものの復刻版である。