宝永5年(1708)初演。近松作の三段の時代物。作品の主眼は、遊女みやの絵師元信への愛情で「三熊野かげろふ姿」が最大の見せ場だが、現在上演されるのは、主人公不在の「将監閑居の場」。竹本義太夫に代わり座本となった竹田出雲は、からくり芝居の出身で『傾城反魂香』の演出にもからくりを用いたとされる。 展示資料は、全段を収録した7行正本。語り方を示す節譜がつく。山木版という海賊版も出回った山本版正本には、正統性を示す印が入る事が多いが、展示本には見られない。