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世界天文年2009によせて  展示資料一覧

資料解説
資料解説の一部は伊藤節子氏(元国立天文台)と平岡隆二氏(長崎歴史文化博物館)にご協力いただいた。無記名の解説は中村士による。
所蔵機関名表示のないものは、東京大学総合図書館所蔵である。

52 されど天界は変わらず 東京大学天文学教室諏訪疎開の記録
東京大学理学部天文学教室OB編、長野、龍鳳書房、1993

平成2年(1990)、天文学教室の一職員が退職の際、手付かずのままだった、麻布から本郷へ教室が移転した時の古い文書類を整理した。その中に偶然、天文学教室が太平洋戦争中、戦禍を避けて長野県の諏訪に疎開していた時の日誌が見つかった。「上諏訪日誌」と題されていた。情報の少ない戦争末期の天文学教室の動静を伝える貴重な記録として、有志が解読し出版に漕ぎつけたのが本書である。麻布の天文学教室は昭和20年 (1945) 5月25日の空襲で焼失した。日誌は1945年4月29日に始まり、同年10月19日に終わっている。上諏訪と下諏訪の旅館に教室スタッフと学生が分宿した。教員は助教授の藤田良雄と助手/講師の畑中武夫、学生は全学年合わせて18名だった。

畑仕事や物資の買出しと運搬、東京への往復を繰返しながら、東京から出張してきた教授萩原雄祐、藤田、畑中の講義を聞き、また、それぞれに自習と研究、輪講を行なっていた様子が克明に記録されている。日誌本文だけでなく、かなりの数の写真、各当事者の回顧談、現地受入側の人々の談話も収録され、日本の天文学が戦後、急速に飛躍していく前夜を見るような印象を受ける。


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