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資料解説
資料解説の一部は伊藤節子氏(元国立天文台)と平岡隆二氏(長崎歴史文化博物館)にご協力いただいた。無記名の解説は中村士による。
所蔵機関名表示のないものは、東京大学総合図書館所蔵である。

49 天文学の概観 1940-1945
日本天文学会編、日本学術振興会、1951
<東京大学大学院理学系研究科・理学部天文学教室所蔵>

第2次世界大戦中(1940-1945)に行なわれた日本の科学技術研究は、天文学も含めて出版・公表されていないものが多く、時の経過と共に忘れ去られたり散逸する恐れがあった。敗戦後じきの昭和23年(1948)に、GHQ(占領軍総司令部)の科学技術課から指令が出て、各学会は文部省から戦争中の研究活動について取りまとめるよう依頼を受けた。その結果、出来上がったのが本書である。日本天文学会は理事長萩原雄祐のもと1948年末にはほぼ調査が完了していたが、他の学会と歩調を合わせたために、漸く1951年になって日本学術振興会からまとめて出版された。僅か80頁の小冊子である。

18人の各分野の専門家による原稿を5つの章に分けてまとめている。第1章の星辰及び実地天文学では、子午線天文学、暦、天文航法、緯度変化を、第2章天体力学では、天体力学と彗星及び小惑星について述べている。第3章は天体物理学で、天体測光学及び分光学、太陽物理学及び日食、太陽輻射及び電離層、恒星物理学、惑星状星雲、銀河系の構造、流星及び黄道光、夜光、の各分野である。また、第4章は天文時計と天体写真儀を、第5章天文学史は暦法及び暦法史を扱っていた。これらの内、戦前・戦中の時代を否応なしに意識させる研究として、インドネシア、ジャカルタ(昭和6年9月-16年12月)とレンバン(昭和19年9月-20年8月)における緯度観測がある。


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