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世界天文年2009によせて  展示資料一覧

資料解説
資料解説の一部は伊藤節子氏(元国立天文台)と平岡隆二氏(長崎歴史文化博物館)にご協力いただいた。無記名の解説は中村士による。
所蔵機関名表示のないものは、東京大学総合図書館所蔵である。

40 東京帝国大学学術大観 理学部・東京天文台・地震研究所
東京帝国大学、1942(昭和17)年

本書には、明治13年(1880)から昭和15年(1940)頃までの約60年間に、理学部天文学教室と東京天文台の研究者が行なった研究の概要と、発表した学術論文のリストが年毎にまとめられている。昭和15年は皇紀2600年にあたり、政府は国威発揚のために研究を奨励した。また、軍国主義の台頭で日本は国際的な孤立感を深めた結果、研究者自身も意識的に研究に取組んだためらしく、どの分野でも昭和15-18年頃に優れた研究・著書が集中的に発表されている。本書が企画されたのも、そうした背景が働いていたのではないだろうか。

この60年間に発表された天文学の論文総数は約580篇であるが、以下にその動向を概略する。1880-1920年の期間は、論文数は3年間あたりほぼ10篇以下で天体物理学に関する研究はほとんどなく、これは寺尾寿が研究環境と研究者の増員に悪戦苦闘していた時期に相当する。1925-30年頃から、論文数はそれまでの5-6倍に急増するが、この間天文学教室・東京天文台の職員数は2倍程度増えたに過ぎないから、各研究者の研究活動が活発になったのであろう。1940年頃には更に論文数が増加する。これは上の"皇紀2600年効果"であるに違いない。そしてこの時期には、天体物理学の論文数は古典天文学のそれに匹敵するまでになっていた。

東京帝国大学学術大観 理学部・東京天文台・地震研究所
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