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資料解説
資料解説の一部は伊藤節子氏(元国立天文台)と平岡隆二氏(長崎歴史文化博物館)にご協力いただいた。無記名の解説は中村士による。
所蔵機関名表示のないものは、東京大学総合図書館所蔵である。

33 明治二十歳八月十九日日食九分九厘餘
錦絵1枚、明治20年7月届、小林新吉画工兼出版

明治20年(1887)8月19日に、皆既日食帯が佐渡から白河を通り、皆既日食があった。東京では、九分九厘あまりの日食が見られ、この図のような状況が起きると想像して描かれた錦絵。説明文中に記された101年前の天明6年(1786)1月1日の日食は、暦の上では、皆既日食と記されたが、記録によると、金環食であったようである。(伊藤)

[原文]
 午後二時三十六分右の下より虧はじめ 三時四十八分上の右に甚し 四時五十三分上と左の間にをハる。但シ白河より佐渡に至ル線路ハ皆既たるべし。
 此度(こんど)の日食ハ誠(まこと)に珍しき現象にて今を去る事百一年前 天明六年正月元日以来曽て(かって)なきよし、総(すべ)て物の色ハ奇異(きい)にして全く蝕するに及んでハ 咫尺(しせき)も辧する事得ずとハ誠に近年に珍らし事にこと((ママ))。記者述

[口語訳]
 明治二十年八月十九日午後二時三十六分に、(太陽)の右下から欠け始めて、三時四十八分に、右の上で最も欠けて、四時五十三分に上と左の間で、欠け終わる。白河から佐渡に至る線の上では皆既食になる。
 今度の日食は、とても珍しい現象で、百一年前の天明六年一月一日に起きた日食以来の事である。記者

【参考】大崎正次編『近世日本天文史料』(原書房,1994)

明治二十歳八月十九日日食九分九厘餘
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