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世界天文年2009によせて  展示資料一覧

資料解説
資料解説の一部は伊藤節子氏(元国立天文台)と平岡隆二氏(長崎歴史文化博物館)にご協力いただいた。無記名の解説は中村士による。
所蔵機関名表示のないものは、東京大学総合図書館所蔵である。

21 大日本沿海実測録
伊能忠敬測定、大学南校編、1870(明治3)年刊、全14冊
(印記)「青洲文庫」(渡辺青洲)

伊能忠敬の死後、忠敬の日本全国測量による成果は暦局の人々と弟子たちの手によって完成され、文政4年(1821)7月に『大日本沿海輿地全図』として幕府に上呈された。本書は、献上の際地図に添えられた附属資料である。明治維新後、『大日本沿海輿地全図』の原本は所蔵されていた皇居の火災で焼失するが、この『大日本沿海実測録』の方は明治3年に大学南校(元の開成所)から木版刊行された。首巻の初めにはいくつかの序文がある。文政4年夏6月の年記で、地図の完成を監督指導した書物奉行兼天文方高橋景保と、伊能忠敬による「大日本沿海輿地全図序」がまず採録されている。次に、忠敬による地図の詳しい凡例があり、最後に、日本全国測量に従事した人々、地図の製作にかかわった暦局職員の名前を景保が列挙している。

本書の内容は、沿海筋や各街道に沿って、測量を実施した場所の地名と地名間の距離を記し、測量上重要な1000箇所余りについては天文観測から決めた緯度の値も与えている。また、湖沼や島嶼についてまとめている。なお、佐原の伊能忠敬記念館には、全国測量後に清書編纂された類似の史料として、伊能忠敬による『山島方位記』(寛政12年~文化12年)、67冊が所蔵される。(中村・伊藤)

【参考】『伊能大図総覧』(河出書房新社,2006)

大日本沿海実測録
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