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世界天文年2009によせて  展示資料一覧

資料解説
資料解説の一部は伊藤節子氏(元国立天文台)と平岡隆二氏(長崎歴史文化博物館)にご協力いただいた。無記名の解説は中村士による。
所蔵機関名表示のないものは、東京大学総合図書館所蔵である。

11 天地二球用法
本木良永訳、写本5巻1冊、安永3年(1774)
(印記)「詳證館」(内田五観)、「川北氏蔵書」(川北朝鄰)

アムステルダムの地図製作者・出版社として著名なW. J. ブラウが、1633年に製作した天球・地球儀にはオランダ語の手引書が附属していた。表題は、Tweevoudige Onderwijs van de Hemelsche en Aardesche Globen である。そのラテン語版を蘭訳した1666年版が長崎に舶載され、この版を本木良永が翻訳したものが本書である。ブラウの序文に、ギリシアのプトレマイオス以来の地球を中心とする宇宙体系と、コペルニクスによる静止した太陽と言う新しい惑星像とを比較説明する、と書かれていることから、ブラウの手引書の執筆意図が了解できる。元はにしんの仲買人だったブラウは、デンマーク領フベン島の天文台にいた著名な天文学者ティコ・ブラーエを訪れ、ティコの恒星観測データを使わせてもらい天球儀を製作したことでも知られる。良永のこの翻訳は、コペルニクスによる太陽中心説(地動説)を我が国に紹介した最初の著作だった。良永は漢学が余り得意でなかったため、未知のオランダ語単語を漢語に翻訳する際、しばしば松村元綱の協力を仰いでいる。(伊藤・中村)

天地二球用法
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