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新編金匱要畧方論  V11:1027 (漢)張仲景著;(晋)王叔和撰次  享和元(1801)刊

新編金匱要畧方論

 中国の古典医学書。張仲景の撰とされている。通説として、張仲景の『傷寒雑病論』16巻のうち、『傷寒論』10巻を除いた『雑病論』6巻が『金匱要略』であるといわれている。

 張仲景は、生没年不詳。2世紀中ごろから3世紀初めごろの中国の医家。『傷寒論』『金匱要略』の著者であり、中国医学における医方の祖、医聖とされる。


察証辨治啓迪集(外題 啓迪集)  A00:6481 雖知苦斎道三編  天正10(1582)写

啓迪集

 本書は、室町末期から安土・桃山時代にかけてもっとも高名な医師として歴史にも登場する曲直瀬道三(雖知苦道三)(1507 - 1594)が元亀2年(1571)に完成した彼の代表作である。同時代のわが国の医学の主流をなしていた当時の中国医学(李朱医学)の主な医学書を体系的に編集したもので、最高権威の医学書と目された。

 本書全8巻は74部門に分けられており、類似の疾病を1つにまとめ、おのおのについて名証(病名)、由来(定義)、辨因(病因)、証(症候)、脈法(診断)、類証(鑑別すべき類縁疾病)、予知(予後)および治方(治療法)の8項目を立てて整然と論述している。(書名にある「察証辨治」とはこれらの項目を指す。)こうした記述の形式は、現代の医学書でも基本的に変わらない。

 道三自筆の稿本のほか、幾つかの写本が伝えられており、ここに展示されているものもその1つである。また版本としては、慶安2年(1649)刊の慶安本がある。曲直瀬道三(正盛)は、啓迪集などの著作を通して当時最新の中国医学のわが国への導入・普及に大きく貢献し、日本医学中興の祖とも称えられる。その活躍ぶりは目覚ましく、生地の京都に学舎啓迪院(「啓迪集」の書名の由来となった)を創設して医学教育活動に従事する傍ら、足利義輝、毛利元就、織田信長、豊臣秀吉といった時の権力者の信任を得てその医療にあたったほか、千利休などの文化人とも親交を結んだ。 (山口英世)


仲景全書  V11:1341 (明)趙開美編  寛文8(1668)刊

仲景全書

 『仲景全書』は、明の趙開美が万暦27年(1599)に刻刊したもので、張仲景の『傷寒論』、 『金匱要略方論』等を納める。


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