日本の写本・刊本(近世・近代)

 黄檗版大蔵経など、江戸時代の版本は総合図書館に多数存するのみならず、文学部などにも相当数存する。今回はそのうち、比較的貴重なものに限って、数点展覧する。版本としては、近世初期を代表する宗存版(46)天海版(47)が存する。本学所蔵の写本として注目されるのは、著名な思想家・文学者の自筆本を有する点である。『註画讃』(49)は大田南畝自筆本、『悉曇字記真釈』(50)は著者行智自筆本である上に、平田篤胤の書き込みがある。また、『唯識鈔』(52)は森鴎外自筆本である。これらは仏教研究上重要であると同時に、文学者・思想家の研究の上でも貴重である。また、『瞎驢眼』(51)のように、語録の形成を知る上で注目される史料もある。このように、なまの史料が多数あるのが、近世・近代関係史料の特徴である。

46. 真言陀羅尼
47. 摩訶般若波羅蜜経残
48. 神道伝授巻
49. 註畫讃
50. 悉曇字記真釈
51. 瞎驢眼
52. 唯識鈔


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