平成20（2008）年は、源氏物語千年紀の記念すべき年といわれている。実は、源氏物語成立の年に関する確実な記録はみつかっていないのだが、作者・紫式部の日記に関連の記事が現れてからちょうど一千年ということで、各地で様々な行事が催されている。

　関東大地震で大きな被害を受けた当館も、昭和３（1928）年の再建からちょうど80年。その間、震災直後に寄贈・購入された鴎外文庫・青洲文庫・南葵文庫などのコレクションを始めとして、日本の古典に関しても様々な資料を収集してきた。今回の展示は、その中からミレニアムを迎えた源氏物語に関連する資料をいくつか選び、その悠久の歴史の一端に触れてみようという試みである。