洒落本


17 両巴巵言 A00-霞亭301

 撃鉦先生著。刊本、小本1巻1冊。題簽欠、外題打付、左肩「両巴巵言」。内題「両巴巵言」。30丁。刊記「享保戊申孟春穀旦」(本文末)、「享保十三年毎月改遊戯堂」(巻末)。大人先生の吉原通いを写した漢文本文と、遊女立像を含む吉原細見から成る。洒落本の濫觴とされる作品。展示本の遊女立像には彩色がされている。この彩色のあるものがごく早い版らしい。

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18 田舎芝居 A00-霞亭364

 万象亭(森島中良)著。刊本、小本1巻1冊。天明7年(1787)1月、風來山人門無名子(万象亭)序。天明7年1月、七珍万宝後序。竹杖為軽・森羅万倍によるほめ言葉あり。千差万別・天竺老人校語。狐面堂柳郷跋。原題簽、左肩双辺「いなか芝居 全」。内題「田舎芝居」。45丁。刊記「江戸通油町/書林蔦屋重三郎」。印記「霞亭文庫印」。越後国の農村で開かれた旅芝居の見物人達の騒ぎや、舞台の野鄙な台詞や演技を面白おかしく描いたもので、天明期洒落本に一石を投じる作品。展示本は蔦屋重三郎求版本で、江戸鶴屋喜右衛門版の初版本とは序や後序などの順序が異なる。


19 錦之裏 E24-818

 山東京伝著。刊本、小本1巻1冊。自序。寛政3年(1791)1月、自跋。自序のあとに後叙、自跋のあとに付言あり。書題簽、左肩「錦乃裏」。内題「青樓晝之世界錦之裏」。40丁。印記「青洲文庫」。錦の裏とは、華やかな錦の表にたとえられる夜の廓に対し、昼の廓を意味する。従来の洒落本が扱わなかった情景である。本作を含む洒落本3部作が寛政の改革の出版統制に触れ、京伝は手鎖に処せられた。本作には初版本、第1次覆刻本、第2次覆刻本の3種が知られているが、展示本は第1次覆刻本とみられる。初版本では自序、付言、本文、後叙の順に並ぶが、展示本ではその順序が異なるなど、幾つかの違いがある。